紫外線の意味

紫外線【シガイセン、ultraviolet rays, ultraviolet radiation】
 
<用語解説>
紫外線とは
紫外線とは、地表に到達する太陽光の一種のこと。
紫外放射や紫外光ともいう。ultravioletからUVとも呼ばれる。
波長が短い順に UV-C、UV-BUV-Aに分けられ、紫外線のうち健康や美容の面で特に問題になるのはUV-BとUV-A。
太陽光と紫外線
〇電磁波と光と太陽光
電磁波は、太陽や電球、火などの光源から放出されたエネルギーで、波のような性質があり、空間を振動しながら進みます。振動の波の1周期(山と山の距離)である波長が短い方から、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波とい、これら様々な波長の電磁波が一体となっています。この中で波長がX線より長く電波より短い電磁波(紫外線、可視光線、赤外線)を光と呼ぶのが一般的です。狭義では、目に見える可視光線のみを光と呼ぶこともあります。

太陽からも、ガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、電波が放射され、地表に届くのは、紫外線、可視光線、赤外線、電波です。可視光線のみを太陽光と呼ぶこともありますが、化粧品の世界で紫外線や日焼け止めに関連して述べる時の太陽光は、紫外線、可視光線、赤外線の3つを指すのが一般的で、このうちの5-6%が紫外線です。紫外線は目にも見えず熱も感じません。赤外線は目に見えませんが熱として感じられます。

〇紫外線と呼ぶわけ
地表に届く太陽光は、波長が短い方から紫外線、可視光線、赤外線です。可視光線は虹のように7色に分光し、波長が短い方から紫、藍、青、緑、黄、橙、赤です。紫外線は、この7色のうち波長が最も短い紫色を超える(紫色の外にある)性質を持つため「紫外線」と呼ばれます。赤外線は、7色のうち波長がもっとも長い赤色を超える(赤色から外れる)性質を持つため「赤外線」と呼ばれます。

よく使われる「UV」は、ultraviolet rays や ultraviolet radiation(紫外線の英語表現)のultraviolet部分の略です。 波長が短い方がエネルギーがありパワーが強くなります。超~、過激な~という意味のultra(ウルトラ)とviolet(バイオレット)を組み合わせ、可視光線中で最もエネルギーの高い紫を超えるパワーがあることを意味していることがわかります。赤外線は、可視光線の中で最もエネルギーの低い赤よりさらにエネルギーが落ちるため、ultraではありません。赤外線は、英語でnfrared raysやinfrared radiationといいます。

〇地表に届く紫外線の種類
地表に届く紫外線には、波長が短いものから、紫外線C波(UV-C: 200~280nm)、紫外線B波(UV-B:280~320nm)、紫外線A波(UV-A:320~400nm)に分類されます。UVCは大気層(オゾンなど)で吸収され地表には届きません。UVBは一部が大気層(オゾンなど)で吸収され、残りは地表に届きます。UVAはそのまま地表に届きます。私達が浴びている紫外線はUVBの一部とUVAということになります。波長の分け方は分野や団体などによって異なります。
団体 UV-C UV-B UV-A
粧工連 100~280nm 280~320nm 320~400nm
ISO 100以上~280nm未満 280以上~315nm未満 315以上~400nm未満
CIE 100~280nm 280~315nm 315~400nm
気象庁 100~280nm 280~315nm 315~400nm
肌への影響
〇紫外線の影響
紫外線は、地表に届く太陽光の中で最もエネルギーが大きく、そのため殺菌作用や人の肌に日焼けを起こすようなパワーがあります。殺菌効果やビタミンD合成など私達にとっていいこともありますが、一方で浴びすぎると皮膚がんや白内障になりやすいこともわかっています。赤ちゃんに対して日光浴が推奨される時代がありましたが、1998年からは母子手帳の日光浴をすすめる記述が削除され、日光浴ではなく外気浴が推奨されるようになりました。

美容の面でも、日やけシミの原因となるだけでなく、ニキビを悪化させたり、炎症を起こしたり、肌の老化を加速させたりします。などの原因となるため、適切に紫外線を防ぐことが大切です。紫外線はどんな天気でも降り注いでいます。ほんの薄い曇りなら晴天時の80%の紫外線は通過します。紫外線の強さを確認する方法に、UVインデックスがあります。

〇UV-BとUV-Aの影響の違い
電磁波は、波長が短いほどエネルギーが大きくなり、当たられたものは影響を大きく受けます。電磁波の一種の紫外線も同様で、エネルギー量は波長に反比例し、エネルギーが大きいほど、つまり波長が短いほど生体に対するリスクが高まります。そのため波長が違うUV-BとUV-Aでは影響が異なります。

UV-B:
UV-Bは、表皮に当たって吸収されると、表皮中の様々な物質と反応して表皮にダメージを与えます。肌表面で炎症を起こし、皮膚をヒリヒリさせ赤くするサンバーンはUV-Bによるものです。皮膚の赤みが引いたあとにメラニン色素が活性してシミになったり、皮膚が黒くなりすることが多く、乾燥や肌荒れ皮むけの原因にもなります。海水浴やスキーなどのレジャーでの日やけの主な原因となることからレジャー紫外線とも呼ばれます。

UV-A:
UV-Aは、UV-Bよりエネルギーが小さいためく、表皮に当たった時にUV-Bほどの強い刺激はありません。しかし、表皮で吸収されて表皮にダメージを与えない分、真皮まで到達します。皮膚の黒化(サンタン)を起こしたり、真皮まで届いて真皮内のコラーゲン、エラスチンにダメージを与えたりします。地表に届く紫外線のうち、UV-Aが占める割合はおおよそ90%とも95%とも言われ、年間変動が比較的小さく一年を通じて降り注ぎます。日差しの弱い朝や夕方も特に変わらず、雲や窓ガラスも透過しやすい性質があります。日常生活で知らず知らずのうちに浴び続けることでダメージが蓄積することから、生活紫外線とも呼ばれ、しわやたるみなど、光老化を引き起こす原因になります。

参考資料:
- 「環境省 紫外線 環境保健マニュアル2015」
- 「環境省 紫外線 環境保健マニュアル2020」
- 環境省公式サイト「令和元年度オゾン層等の監視結果に関する年次報告書」第3部 太陽紫外線の状況
- 絵とデータで読む太陽紫外線 太陽と賢くつきあう法
独立行政法人 国立環境研究所 地球環境研究センター
<紫外線の関連用語>
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